多くの人が桜餅を見ると春が来たことを実感するかもしれませんね。
特に3月のひな祭りが近づくと、そこかしこで桜餅が売られています。
しかし、桜餅は一体いつ食べるのが正しいのでしょうか。
確かにひな祭りと結びつけて考えられがちですが、この習慣について詳しく調査してみました。
桜餅の適切な食べ時は?特定の時期はある?
桜餅に「特定の日」が設けられているわけではありませんが、「食べる時期」としては3月下旬から4月下旬が一般的です。
一部の店舗では年間を通して販売していますが、多くの場合、節分の後からひな祭りの終わりまでが主な販売期間です。
ひな祭りで桜餅を食べる理由
端午の節句が男の子の成長を願って柏餅やちまきを食べるのに対し、桜餅はそのピンク色が春や女の子を思わせるため、桃の節句であるひな祭りに食べられるようになりました。
もちろん、成長を願う意味合いも含まれていますが、端午の節句と同じような意味ではないとされています。
また、桜餅が菱餅の代替として食べられるようになったという説もあります。
桜餅の起源とその歴史
桜餅はどの時期から日本で食されるようになったのでしょうか。
桜餅の起源
桜餅が初めて登場したのは江戸時代です。
当時、長命寺という寺の門番を務めていた山本新六が、享保2年(1717年)に「山本や」という店を開業。
彼は塩漬けした桜の葉で餡を包んだ餅を門前で売り始め、これが長命寺桜餅の起源とされています。
当初は現在のような塩漬けではなく、醤油漬けであったという話も伝わっています。
桜の葉を使った理由は?
江戸時代、徳川吉宗将軍が隅田川周辺に桜を植え、桜の名所を創出した頃、花見が盛んになりました。
しかし、桜の落葉が問題となり、それを何とか活用できないかと山本新六が考えた結果、桜の葉を塩漬けにして餅を包むアイデアを思いつきました。
これが長命寺の桜餅の始まりで、花見客が増えるとともに、この桜餅も人気を博しました。
桜餅の色の秘密
初期の桜餅では、自然な方法で色付けを行っていました。
桜の葉を水に浸すと水が薄いピンク色に染まるのを利用し、その水で餅に色をつけていました。
現代では、食紅や紅麹を使用して色付けをしています。
紅麹には健康上の利点もありますが、特定の群には過剰摂取に注意が必要です。
関西と関東で異なる桜餅のスタイル
桜餅には地域によって異なるスタイルが存在していることをご存知ですか?
関東地方では「長命寺」と呼ばれるスタイルが一般的で、これはその地で初めて販売されたためです。
一方、関西地方では「道明寺」という名称の桜餅が広まっています。
これは京都発の和菓子が江戸に伝わり、地域ごとの特色を持って発展したため、別の名前が付けられるようになったと言われています。
関東風桜餅の製法
関東地方の長命寺桜餅は、小麦粉や上新粉、白玉粉を水で練り、色を加えて薄く焼き上げた生地に餡を乗せて包みます。
その後、塩漬けされた桜の葉で巻くのが特徴です。
関西風桜餅の製法
一方、関西地方の道明寺桜餅は、もち米を蒸し、乾燥させて細かく割ったものを道明寺粉と称します。
この粉は戦国時代から保存食として利用されており、その歴史が名前の由来になっています。
道明寺粉を熱湯で練り、赤く着色し、蒸してから粒が感じられる程度にこねて広げ、餡を乗せて丸く成形します。
仕上げに塩抜きした桜の葉を巻いて完成させます。
まとめ
関東風と関西風の桜餅は、それぞれ異なる歴史と製法を持っていますが、春の訪れを告げる和菓子として、またひな祭りのお祝いに楽しむのが一般的です。
これからも春の季節を彩る大切な和菓子として、多くの人々に愛され続けるでしょう。